CNR(Contrast-to-Noise Ratio:コントラスト対雑音比)
2つの組織の差が、ノイズに埋もれずに見分けられるかを表す指標。SNRとの違い、なぜSNRが高くても病変が見えないのか、線量との関係まで。
一言でいうと
CNR(Contrast-to-Noise Ratio)は、隣り合う2つの組織の明るさの差が、ノイズに埋もれずにちゃんと見分けられるかを表す指標です。
「病変が見えるかどうか」に、いちばん直結する数字です。
式
CNR =(領域Aの信号 − 領域Bの信号)÷ ノイズ
分子が「2つの差」であるところがポイントです。
SNRとの違い
よく混同されるので、並べて整理します。
| SNR | CNR | |
|---|---|---|
| 分子 | 1つの領域の信号の大きさ | 2つの領域の信号の差 |
| 見ているもの | 画像がどれだけ明るくきれいか | 区別がつくかどうか |
SNRが高いのに病変が見えない、ということは普通に起こります。
たとえば、肝臓と腫瘍がどちらも非常に明るくきれいに写っていても、両者の明るさがほとんど同じなら、境目は分かりません。SNRは高いがCNRが低い状態です。
逆に、多少ざらついた画像でも、腫瘍と背景の差が大きければはっきり分かります。こちらはSNRが低くてもCNRが高い状態です。
診断できるかどうかを決めるのはCNRのほうです。
線量との関係
X線の光子数は、統計的なゆらぎ(量子ノイズ)を持ちます。ノイズの大きさは光子数の平方根に反比例するため、
- 線量を4倍にすると、ノイズは1/2
- その結果、SNRもCNRも2倍
逆に線量を1/4にすれば、CNRは半分になります。線量を半分にしてもCNRは半分にならない(1/√2 ≒ 0.71倍)という平方根の感覚をつかんでおくと、設問で迷いません。
CNRを上げる手段
| 方法 | 効くところ |
|---|---|
| 造影剤を使う | 分子(コントラスト)を大きくする |
| 管電圧を下げる | 物質による吸収差が広がりコントラスト増(ただしノイズと被ばくに注意) |
| 線量を増やす | 分母(ノイズ)を小さくする |
| スライス厚を厚くする | 光子数が増えノイズ減(ただし部分容積効果は悪化) |
| ノイズ低減の再構成(IR・DLR) | 分母を小さくする |
| MRIで加算回数(NEX)を増やす | 分母を小さくする |
造影剤はコントラストを上げているのであって、ノイズを減らしているわけではありません。ここは設問で問われやすいところです。
実務での見方
多くの改善策には代償があります。
- 線量を増やす → 被ばくが増える
- スライスを厚くする → 部分容積効果で小さい病変が見えにくくなる
- 管電圧を下げる → 被写体が厚いとノイズが増え、かえって悪化することもある
CNRだけを追いかけるのではなく、被ばく・分解能とのバランスで条件を決めることになります。
国試ではこう出る
- CNR =(信号A − 信号B)÷ ノイズ。SNRは1つの領域の信号÷ノイズ。CNRは2つの領域の「差」を見ている点が違う。
- SNRが高くてもCNRが低ければ病変は見えない。組織間の差が小さければ、いくら明るくきれいでも区別できないため。
- 線量を4倍にするとノイズは1/2になり、SNRもCNRも2倍。逆に線量を1/4にすると半分になる。平方根の関係。
- 造影剤はコントラスト(分子)を大きくすることでCNRを上げる。ノイズを減らしているわけではない。
くわしく学ぶ
- CTの画質(ノイズ・空間分解能・コントラスト分解能) CTの画質は、ノイズ・空間分解能・コントラスト分解能で語られます。ノイズが線量(mAs)の平方根に反比例する関係や、空間分解能とコントラスト分解能のトレードオフを、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
- 一般撮影の画質(鮮鋭度・粒状性・MTF・DQE) X線画像の画質は、鮮鋭度(シャープさ)・粒状性(ざらつき)・コントラストで決まります。ボケの原因や、MTF(鮮鋭度)・DQE(線量の使い方の効率)といった物理評価の指標を、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
- SNRと加算回数(NEX)の関係 — なぜ4倍で2倍なのか MRIの画質を左右するSNR(信号対雑音比)。加算回数(NEX)を増やすとSNRはどう上がるのか、なぜ「4倍にしてやっと2倍」なのか、撮像時間とのトレードオフまでを、受験者・現場の両方に向けて図と式で整理します。