CTV(Clinical Target Volume:臨床標的体積)
目に見える腫瘍に、見えない広がりを足した範囲。GTV・CTV・ITV・PTVの入れ子の順番と、それぞれのマージンが何を吸収しているのかを整理。
一言でいうと
CTV(Clinical Target Volume)は、画像で見えている腫瘍に「たぶんこのあたりまで広がっているだろう」という余白を足した範囲です。
治療で確実に線量を入れたい、臨床的な意味での標的になります。
4つの体積の関係
放射線治療では、標的の範囲を段階的に大きくしながら定義していきます。それぞれのマージンが、まったく違う不確かさを吸収しているというのが本質です。
GTV(肉眼的腫瘍体積)
CTやMRI、触診で実際に確認できる腫瘍そのものです。見えているものだけ。
CTV(臨床標的体積)
GTV + 画像には写らない微小な浸潤。
がんは、見えている塊のまわりに顕微鏡レベルで散らばっていることがあります。そこを取り残すと再発するため、余白を付けます。これは腫瘍の生物学的な性質による余白です。
ITV(内部標的体積)
CTV + 呼吸や消化管の動きによる、標的自身の移動。
肺や肝臓の腫瘍は呼吸で数cm動きます。その動く範囲すべてを含めます。
PTV(計画標的体積)
ITV + 毎回の位置合わせのズレ(セットアップ誤差)。
患者さんを毎日まったく同じ位置に寝かせることはできません。その誤差を吸収します。
表で整理
| 体積 | 足すもの | 何の不確かさか |
|---|---|---|
| GTV | — | 見えている腫瘍 |
| CTV | 微小浸潤 | 生物学的な広がり |
| ITV | 標的の動き | 臓器の動き |
| PTV | セットアップ誤差 | 位置合わせのばらつき |
大きさは必ず GTV < CTV < ITV < PTV の順になります。
いちばん多いひっかけ
「CTVのマージンは位置ずれや呼吸の動きを含む」は誤りです。
CTVが吸収するのは、あくまで目に見えない腫瘍の広がりだけ。動きはITV、位置合わせの誤差はPTVの担当です。
役割を混ぜないでください。ここを分けて覚えているかどうかが、そのまま得点差になります。
PTVについての注意
PTVは「線量を処方するための幾何学的な入れもの」であって、その中に必ず腫瘍があるという意味ではありません。
そのためPTVがOAR(脊髄など)と重なってしまうこともあり、その場合はどちらを優先するか、計画上の判断が必要になります。
なお、IGRT(画像誘導)で毎回位置を確認・補正できるようになると、セットアップ誤差が小さくなるため、PTVマージンを縮められます。マージンが小さくなれば、そのぶん正常組織の被ばくが減ります。
国試ではこう出る
- 大きさの順はGTV < CTV < ITV < PTV。入れ子構造になっている。順番を並べ替えさせる問題が定番。
- CTVのマージンが吸収するのは画像に写らない微小な浸潤(生物学的な広がり)。位置ずれや呼吸の動きではない。ここが最大のひっかけ。
- 呼吸などによる標的自身の動きを足したものがITV、セットアップ誤差まで足したものがPTV。何を吸収するマージンかで区別する。
- PTVは「線量を処方するための幾何学的な範囲」であって、そこに腫瘍があるという意味ではない。OARと重なることもある。
くわしく学ぶ
- 治療計画とターゲット(GTV・CTV・PTV・DVH) 放射線治療の計画では、狙う体積をGTV・CTV・PTVと段階的に定義し、リスク臓器(OAR)を守りながら線量を設計します。標的体積の考え方と、線量評価に使うDVH(線量体積ヒストグラム)を、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
- IGRT(画像誘導放射線治療)とCBCT IGRTは、照射の直前に画像で病巣の位置を確認し、寝台を補正してから当てる技術です。CBCTなどによる位置合わせのしくみと、マージン縮小による正常組織の保護、呼吸性移動への対策を、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
- IMRT・VMAT(強度変調放射線治療) IMRTは、ビームの強度を場所ごとに変えることで、リスク臓器を避けた凹型の線量分布まで作れる照射法です。多方向ビームで病巣に線量を集中させるしくみと、回転しながら照射するVMATを、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。