DVH(Dose-Volume Histogram:線量体積ヒストグラム)
横軸に線量、縦軸に体積をとったグラフ。標的とリスク臓器で形がどう変わるか、V20・D95・D2ccの読み方、そして「DVHでは分からないこと」まで。
一言でいうと
DVH(Dose-Volume Histogram)は、「どの臓器に、どれくらいの線量が、どれだけの体積で当たっているか」を1枚のグラフにまとめたものです。放射線治療計画を評価するときの、いちばん基本的な道具になります。
グラフの読み方
横軸が線量(Gy)、縦軸が体積の割合(%)です。国試や実務で出てくるのは、ほとんどが累積DVH(cumulative DVH)です。
累積DVHの縦軸は「その線量以上を受ける体積の割合」を表します。したがってグラフは必ず左上(0 Gyで100%)から始まり、右下がりになります。
理想的な形は、標的とリスク臓器で正反対です。
- 標的(PTV)… 処方線量の手前まで100%を保ち、そこで一気に落ちる(角ばった形)
- リスク臓器(OAR)… できるだけ低い線量のうちに落ちきる(左に寄った形)
同じグラフに何本もの曲線が重ねて描かれるので、標的の線が右に張り出し、リスク臓器の線が左に寄っているほど良い計画、という見方をします。
よく使う指標
| 指標 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| Dmax | ディーマックス | その臓器が受ける最大線量 |
| Dmean | ディーミーン | その臓器が受ける平均線量 |
| D95 | ディーきゅうじゅうご | 体積の95%が受けている線量(Gy) |
| V20 | ブイにじゅう | 20 Gy以上が当たっている体積の割合(%) |
| D2cc | ディーにしーしー | 最も線量が高い2 cm³が受ける線量(Gy) |
Dで始まれば答えは線量(Gy)、Vで始まれば答えは体積の割合(%) です。ここを取り違えると、単位を問う設問で落とします。
たとえば肺のV20は、放射線肺炎の起こりやすさと関係する指標としてよく使われます。
DVHでは分からないこと
DVHは体積の情報に圧縮したグラフなので、「線量が高い場所が、臓器のどこにあるのか」は読み取れません。
たとえば脊髄に45 Gyが当たっている、という事実は分かっても、それが脊髄の上端なのか中央なのかは、DVHを見ても分かりません。同じDVHになる線量分布は、無数に存在します。
そのため実際の計画評価では、DVHと線量分布図(アイソドースをCT画像に重ねたもの)を必ずセットで確認します。この「DVHだけでは位置が分からない」という性質は、国試でくり返し問われるポイントです。
国試ではこう出る
- DVHからは「体内のどこに」線量が入っているかは分からない。体積の情報だけに圧縮されるため、位置の情報(ホットスポットの場所)は失われる。ここが最大のひっかけ。
- 累積DVHの縦軸は「その線量以上を受ける体積の割合」。単に「その線量を受ける体積」ではない。
- V20は「20 Gy以上が当たる体積の割合(%)」、D95は「体積の95%が受ける線量(Gy)」。Vは体積、Dは線量が答えになる、と覚える。
- 理想の形は、標的=右端近くまで高いまま一気に落ちる/リスク臓器=低線量側で早く落ちる。グラフの形を選ばせる問題が出る。
くわしく学ぶ
- 治療計画とターゲット(GTV・CTV・PTV・DVH) 放射線治療の計画では、狙う体積をGTV・CTV・PTVと段階的に定義し、リスク臓器(OAR)を守りながら線量を設計します。標的体積の考え方と、線量評価に使うDVH(線量体積ヒストグラム)を、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
- 線量分布とPDD(深部量百分率)・ビルドアップ 放射線治療では、体内で線量が深さとともにどう変化するかが重要です。深さごとの線量を表すPDD(深部量百分率)と、高エネルギーX線で表面線量が低くなるビルドアップ(スキンスペアリング)を、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
- IMRT・VMAT(強度変調放射線治療) IMRTは、ビームの強度を場所ごとに変えることで、リスク臓器を避けた凹型の線量分布まで作れる照射法です。多方向ビームで病巣に線量を集中させるしくみと、回転しながら照射するVMATを、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。