FPD(Flat Panel Detector:フラットパネル検出器)
X線を直接デジタル信号に変える平板の検出器。直接変換型と間接変換型の違い、I.I.より優れている点、そして苦手なことまで。
一言でいうと
FPD(Flat Panel Detector)は、X線をそのままデジタルの数字に変えてしまう、平たい板状の検出器です。現在の一般撮影・血管撮影の主流になっています。
2つの方式
FPDには、X線を電気信号に変えるまでの道すじが違う2種類があります。
直接変換型
X線 → 電荷 → デジタル信号
a-Se(アモルファスセレン)という光導電体を使います。X線が当たると、その場で直接、電子と正孔(電荷)が生まれます。光を経由しないので、信号が横に広がりません。
そのため鮮鋭度が高いのが特長です。マンモグラフィなど、細かい描出が必要な検査で使われます。
間接変換型
X線 → 光 → 電荷 → デジタル信号
CsI(ヨウ化セシウム)などの蛍光体でX線を一度可視光に変え、その光をフォトダイオードで電気に変えます。
一度光にするぶん信号が広がりやすいのですが、CsIは柱状結晶という細い柱が並んだ構造をしているため、光が柱の中を通って横に逃げにくくなっています。これで鮮鋭度の低下を抑えています。
X線を光に変える効率が高く、感度が良いのが特長です。
| 直接変換型 | 間接変換型 | |
|---|---|---|
| 材料 | a-Se | CsI+フォトダイオード |
| 途中で光になるか | ならない | なる |
| 得意 | 鮮鋭度 | 感度 |
I.I.(イメージインテンシファイア)と比べて
血管撮影では、かつてI.I.が使われていました。FPDに置き換わった理由は次のとおりです。
| 項目 | I.I. | FPD |
|---|---|---|
| 周辺の歪み | 糸巻き型の歪みが出る | 歪まない |
| 磁場の影響 | 受ける(電子を飛ばすため) | 受けない |
| 厚み | 大きく重い | 薄い |
| ダイナミックレンジ | 狭い | 広い |
| 経年劣化 | コントラストが落ちる | 少ない |
特に「周辺が歪まない」「磁場に強い」の2点は、I.I.が電子を真空中で飛ばして像を作っていたことの裏返しです。
注意しておくこと
デジタルだから被ばくを自由に減らせる、というわけではありません。
FPDはダイナミックレンジが広いため、線量が足りなくても画像はそれなりに出てしまいます。しかし低線量域ではDQE(検出量子効率)が下がり、ノイズの多い画像になります。
「見た目が出ているから大丈夫」ではなく、適正な線量を守る必要があります。フィルム時代のように「線量不足=真っ白」という分かりやすい警告が出ない点が、かえって落とし穴になります。
国試ではこう出る
- 直接変換型はa-Se(アモルファスセレン)でX線を直接電荷に変える。間接変換型はCsIなどの蛍光体で一度光にしてから電気に変える。材料と順番をセットで覚える。
- 間接変換型のCsIは柱状結晶になっており、光が横に広がるのを抑えて鮮鋭度を保っている。
- I.I.と比べた利点は、周辺の歪み(糸巻き型歪み)がない・磁場の影響を受けない・薄い・ダイナミックレンジが広い。
- FPDでもDQEは低線量域で下がる。「デジタルだから線量を下げ放題」ではない。
くわしく学ぶ
- デジタルX線検出器(CR・FPD) 現在の一般撮影はデジタル検出器が主流です。イメージングプレートを使うCRと、リアルタイムに読み出すFPD(間接変換・直接変換)の違いやしくみを、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
- 血管撮影装置の構成(Cアーム・FPD・天板) 血管撮影装置は、X線管と検出器を向かい合わせに保持するCアームが特徴です。Cアーム・FPD・天板・インジェクタといった構成と、多方向から撮影できる回転のしくみを、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
- 一般撮影の画質(鮮鋭度・粒状性・MTF・DQE) X線画像の画質は、鮮鋭度(シャープさ)・粒状性(ざらつき)・コントラストで決まります。ボケの原因や、MTF(鮮鋭度)・DQE(線量の使い方の効率)といった物理評価の指標を、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。