部分容積効果(Partial Volume Effect)
分解能より小さいものが、周囲と混ざって本当の値より低く写る現象。CT値がずれる理由、核医学でSUVが下がる理由、減らすための具体策まで。
一言でいうと
部分容積効果とは、画素より小さいものを写そうとすると、周りと混ざって「薄まって」しまう現象です。
しくみ
CTでもMRIでも核医学でも、画像は小さな立方体(ボクセル)の集まりでできています。1つのボクセルには1つの値しか入りません。
ところが、そのボクセルの中に骨と軟部組織が半分ずつ入っていたら、どうなるでしょうか。装置は両方の平均値を1つの数字にして表示します。
結果として、
- 小さくて高い値のもの(石灰化・造影血管・骨)は、実際より低く写る
- 小さくて低い値のもの(小さな空気・嚢胞)は、実際より高く写る
どちらも「周りに引っぱられて、本当の値に届かない」という同じ現象です。
CTで困ること
たとえば細い血管や小さな石灰化のCT値を測ると、本当の値より低い数字が出ます。「石灰化かどうか」をCT値で判定しようとすると、判定を誤る原因になります。
肺結節の大きさを測るときも、輪郭がぼやけるため、スライス厚が厚いと正確に測れません。
核医学で特に問題になる理由
核医学(SPECT・PET)は、もともと空間分解能がCTやMRIより粗いため、部分容積効果の影響を強く受けます。
小さな腫瘍にしっかり集積していても、周囲の低い信号と平均されてしまい、SUVが本来より低く出ます。これを過小評価といいます。
影響が目立つのは、病変の大きさが空間分解能(FWHM)の2〜3倍以下のときです。それより大きい病変なら、ほぼ気にしなくて構いません。
減らすには
| 対策 | 効くしくみ |
|---|---|
| スライス厚を薄くする | ボクセルが小さくなり、混ざる量が減る |
| マトリクスを大きくする | 面内の画素が細かくなる |
| 再構成の分解能を上げる | にじみそのものを減らす |
| 部分容積補正をかける | 分かっている分解能から計算で戻す |
いちばん基本かつ確実なのはスライス厚を薄くすることです。設問で対策を選ばせるときは、まずここを疑ってください。
国試ではこう出る
- 1つの画素(ボクセル)の中に複数の組織が混ざると、その平均値が表示される。だから小さい高吸収の構造は実際より低く、小さい低吸収の構造は実際より高く出る。
- 核医学では小さな病変の集積が過小評価される。SUVが本来より低く出るため、定量値をそのまま信じてはいけない。
- スライス厚を薄くすると軽減される。逆にスライスを厚くすると悪化する。ここが対策を問う設問の答えになりやすい。
- 影響が大きいのは、病変の大きさが空間分解能(FWHM)の2〜3倍以下のとき。それより大きければほぼ問題にならない。
くわしく学ぶ
- CTの画質(ノイズ・空間分解能・コントラスト分解能) CTの画質は、ノイズ・空間分解能・コントラスト分解能で語られます。ノイズが線量(mAs)の平方根に反比例する関係や、空間分解能とコントラスト分解能のトレードオフを、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
- CTの原理とCT値(ハウンスフィールド単位) CTはX線の吸収(減弱)の差を画像にします。各画素の値であるCT値(HU:ハウンスフィールド単位)の意味と、水を0・空気を−1000とする決め方、組織ごとの代表値を、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
- 核医学の画質と定量(分解能・部分容積効果・SUV) 核医学は空間分解能が低く、小さな病変は集積が過小評価される部分容積効果に注意が必要です。回復係数の考え方や、PETの定量指標であるSUVの意味と注意点を、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。