PDD(Percentage Depth Dose:深部量百分率)
最大点を100%として、深さごとの線量を百分率で表したもの。エネルギー・照射野・SSDで曲線がどう動くか、TMRとの違いまで。
一言でいうと
PDD(Percentage Depth Dose)は、いちばん線量が高い深さ(dmax)を100%として、そこから深くなるにつれて線量が何%まで落ちるかを示したものです。
基準は体表ではない
まず押さえるべきはここです。PDDの100%は体の表面ではなく、最大点dmaxの線量です。
高エネルギーX線ではビルドアップが起こるため、線量が最大になるのは表面から少し入った深さです。そこを100%と決めています。
たとえば「10 cmの深さでPDDが67%」というのは、「dmaxの線量の67%」という意味であって、「表面の67%」ではありません。
曲線の形
PDD曲線は次のような形になります。
- 表面:低い(スキンスペアリング)
- dmaxに向かって急上昇(ビルドアップ)
- dmaxで100%
- そこから深くなるにつれ、なだらかに減少
減少していくのは、光子が吸収・散乱で減っていくことと、線源から遠ざかることの両方が効いているためです。
4つの条件で曲線が動く
① エネルギー
高いほど深部まで線量が届き、PDDは全体に高くなります。dmaxも深くなり、表面線量は下がります。
| 線質 | dmax | 深さ10 cmのPDDの目安 |
|---|---|---|
| コバルト60 | 約0.5 cm | 約55% |
| 6 MV X線 | 約1.5 cm | 約67% |
| 10 MV X線 | 約2.5 cm | 約73% |
② 照射野の大きさ
大きいほどPDDは高くなります。照射野が広いと、周囲から飛んでくる散乱線が深部に足されるからです。
③ SSD(線源皮膚間距離)
長いほどPDDは高くなります。距離の逆二乗則の効き方が、遠いほど緩やかになるためです。
④ 深さ
深いほど下がります。これは当然ですが、下がり方の速さが①〜③で変わる、というのがポイントです。
TMRとの違い
PDDは「SSDを固定して、深さを変えて測る」やり方です。
ところが回転照射(VMATなど)では、ガントリーが回るのでSSDが刻々と変わります。この場合PDDは使いにくいため、代わりに TMR(Tissue Maximum Ratio:組織最大線量比)を使います。
TMRは、線源から測定点までの距離を一定に保ったまま、上に乗せる組織の厚さだけを変えて測る量です。そのためSSDに依存しません。
- SSD一定の固定照射 → PDD
- SAD一定(回転照射など) → TMR
この使い分けが問われます。
国試ではこう出る
- PDDの基準(100%)は体表ではなく最大点dmax。ここを取り違えると計算問題を落とす。
- エネルギーが高いほどPDDは深部まで高い値を保つ。同時にdmaxも深くなり、表面線量は下がる。
- 照射野が大きいほどPDDは高くなる。散乱線が増えて深部に線量が足されるため。
- SSD(線源皮膚間距離)が長いほどPDDは高くなる。距離の逆二乗則で、深さによる減り方が緩やかになるため。
- PDDはSSD固定の測り方。回転照射のようにSSDが変わる場合はTMR(組織最大線量比)を使う。TMRはSSDに依存しない。
くわしく学ぶ
- 線量分布とPDD(深部量百分率)・ビルドアップ 放射線治療では、体内で線量が深さとともにどう変化するかが重要です。深さごとの線量を表すPDD(深部量百分率)と、高エネルギーX線で表面線量が低くなるビルドアップ(スキンスペアリング)を、受験者・現場の両方に向けて図で整理します。
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